愛知の歴史資料

県史収集資料室

一覧に戻る

【31】天保15年(8~9月) 正金融通の取扱いにつき尾張藩より触書

基本情報

資料名 【31】天保15年(8~9月) 正金融通の取扱いにつき尾張藩より触書
資料群名 名古屋市吉田家文書(B010034-001)
請求番号/資料名 15-00015/御用御触留 八番
詳細情報 御用御触留 八番

解説

 この史料は、天保15(1844)年8月~9月に、正金融通筋にかかわって尾張藩から町方(*1)・在方(*2)に出された触書の写しです。正金(金銀貨幣)については町奉行が一手に請け負い、両替屋や御用会所ならびに農方・商方会所と連携し取り扱うとしています。
 尾張藩では一部の郡に限り藩札(米切手)を流通させ、藩財政の回復を企てていました。藩札は正金との引き替えを前提としたものですが、藩札の信用が落ちたため添銀が登場し、その相場によって藩札の価値が変動するようになりました。添銀とは米切手や藩札の流通過程における信用の不足分を補うための割増銀のことです。本史料の天保15年の夏頃は添銀が金1両当り9匁9分と低目ですが、同年秋以降は30匁を超えていることから、天保15年は添銀相場が激しく乱高下していたことが理解されます。
 本文では添印札と正金との引き替えについても書かれており、農商会所での米切手(藩札)から添印札への引き替えは差止めとなっています。この添印札は、おそらく藩札に尾張藩の公印・藩勘定所印とともに、御勝手御用達(藩札の引請けと正金の引き替えを担当)の町人たちの印が押されたものだと思われます。

*1…村方(農村)・山方(山村)・浦方(漁村)を含む地方(じかた)に対して、町をさす語。
*2…町方に対していう語。地方ともいう。

※この解説文は、愛知県立大学の学生が博物館学の講義の際に作成した解説文を基に作成しています。

PAGE TOP
メニュー