解読問題
 

民間の金融組織

解説

頼母子(たのもし)講は、中世以降行われていた民間の金融組織です。「親」と呼ばれる発起人と数人ないし十数人の講員により構成され、定期的に行われる会合の際に全員が定められた金銭を拠出し、それをくじ引きや入札によって講員の一人に貸し与えました。借りる時は自身の土地や住居を担保として借り受け、その後も会合で拠出金を払い続けることによって返済します。借りられるのは一度だけで、講員全員に回りきれば「満会」となって解散しました。近世における頼母子講は、ある人がまとまったお金が必要になった場合に、その人を発起人として有志を募って開かれるという、相互扶助的な性格の強いものでした。
この文書には、安政5年(1858)の年貢を納めるために、太左衛門という人物が、家屋敷を含む土地を質地(担保)にして頼母子講で集まった金10両を借用したことが書かれています。借りたお金は確かに年貢の上納金としたことを明記し、今後の会合で順次返金していくこと、もし滞った場合には担保とした土地を取り上げてもよいことなどが記載されています。
また後半の文書では、借り主が作成した証文について、要助という人物が証人となって、万一の場合の補償を請け負っています。
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