解読問題
 

農民の転居

解説

江戸時代には、一種の戸籍として、「宗門人別改帳」が村役人によって毎年作成されていました。この文書は、その変更手続きに関するものです。
文政6年(1823)、知多郡大高村(現名古屋市緑区)の「後家」(夫と死別したあと再婚していない女性)が愛知郡相原村(同緑区)に住む縁者の「掛り人」(他人に頼って生活する人)となるにあたって、大高村の庄屋から相原村の庄屋へ、大高村の宗門人別改帳に記載されている内容を伝えた一種の送籍証明書です。
当人は宗旨が浄土真宗、愛知郡荒井村(同南区)西来寺の檀家で、当時、信仰が禁じられていたキリシタンではないことが明記されており、大高村の村役人である庄屋・組頭・五人組惣代が連署・捺印しています。
これを受け取った相原村では、同村の「宗門人別改帳」に後家の名前を書き加え、大高村に対しその旨を記した文書が発行されて、後家の転居が公的に認められました。
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