基本情報
資料名 | 【27】天保14年8月 町惣入用の過分出費のため法改正につき尾張藩より触書 |
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資料群名 | 名古屋市吉田家文書(B010034-001) |
請求番号/資料名 | 15-00014/御用御触留 五番 |
詳細情報 |
御用御触留 五番 |
解説
この史料は『天保十三年寅十二月 御用御触留 五番』より抜粋したもので、天保14(1843)年8月21日に尾張藩町奉行所から名古屋町方に通達された、町惣入用(町人や村人が負担する町村の経費)に関する触書の写しです。
この史料によれば、天保期(1830~44)、町惣入用において、近年数々の集落で過分の出費を重ねていることが尾張藩の調査で発覚しました。そこで尾張藩は、町や村に任せていた入用の件に介入し、法を改正することで、今後町や村が藩役人の目を免れて、入用から過分な出費をすることがないようにしました。改正した法の内容は、町惣入用の負担額の改正、手紙での金銭のやり取りの禁止、引っ越しや通過儀礼の祝い金の制限から、「宗門人別改」の帳面(*1)の紙の使い過ぎを受けての今後の紙の制限、町寄合の際の料亭の利用・酒飯の禁止、祭りの質素化、若者組(一家の主になっていない青少年の集団)の入用使用の禁止と、様々です。また、町惣入用の集金の際は、役人の調査を受け、入用の収支を記載した書類の提出を命じています。これを破れば町や村ごとに処罰するとして、藩が本格的に入用の過分な出費防止に取り組んでいたことが分かります。
文化文政期(1804~29)の贅沢な時代が終わり、天保期(1830~44)の質素倹約の時代の真っ只中であったことが、この史料からうかがえます。
*1…宗門改めと人別改めを複合し、村ごとに作成して領主に提出した戸口の基礎台帳。
※この解説文は、愛知県立大学の学生が博物館学の講義の際に作成した解説文を基に作成しています。