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【35】天保15年11月 米切手正金引き替え時の添銀相場につき尾張藩からの触書および正金引き替え手続きにかかわる書状留

基本情報

資料名 【35】天保15年11月 米切手正金引き替え時の添銀相場につき尾張藩からの触書および正金引き替え手続きにかかわる書状留
資料群名 名古屋市吉田家文書(B010034-001)
請求番号/資料名 15-00015/御用御触留 八番
詳細情報 御用御触留 八番

解説

 この史料は、天保15(1844)年11月に尾張国内に出された米切手と正金(金銀貨幣)の引き替え方にかかわる触書と、尾張藩勘定改方から御勝手御用達商人の知多屋新四郎に宛てられた、正金引き替え手続きの取決めに関する書状がさらに各商人に伝えられたものを併せたものです。特に前半の触書には同月27日亥上刻、つまり夜9時から10時頃に升屋彦八が吉田家に届けに来たことが記録されており、臨場感が感じられます。
 米切手とは、諸藩の蔵屋敷(*1)蔵米を売却するときに発行した米の保管証明書であり、添銀とは、米切手などの商品切手や藩札の流通過程における信用の不足分を補うための割増銀のことです。触では、天保の飢饉の影響による米不足から米価が上昇し、従来の添銀だけでは不足分を賄いきれず、商取引ができなくなったため、今回の引き替えにおいては、各商人が保有する米切手の6割分のみを金1両当り添銀55匁で正金と引き替え可能とするよう指示が出ています。また、残りの4割は切手に増印(*2)をする形で差し戻すという対応でした。なお、銭切手については、これまで通りの取引がなされています。

*1…諸大名などが年貢米その他を売り捌くために、大坂・江戸・京都など商業が盛んで金融にも便利な土地に設けた屋敷。
*2…添銀を低く抑えるため、切手の引受人の押印を増やして信用を高めること。

※この解説文は、愛知県立大学の学生が博物館学の講義の際に作成した解説文を基に作成しています。

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