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【50】天保14年12月 囲籾の代金受渡につき旗本菅沼家役所より知行所村々宛て差紙

基本情報

資料名 【50】天保14年12月 囲籾の代金受渡につき旗本菅沼家役所より知行所村々宛て差紙
資料群名 新城市榊原淳一郎氏収集資料(B730008-001)
請求番号/資料名 03-00060(91)/ (達書)
詳細情報 (達書)

解説

 この史料は、天保14(1843)年12月13日に交代寄合旗本の新城菅沼家役所から知行所村々へ出された、囲籾(かこいもみ)の代金受渡しに関する差紙(決められた日時に出頭を求める命令書)の写しです。囲籾または囲米とは、幕府や諸藩が備荒や米価調節のために穀物を蓄えることをいい、大名だけでなく旗本や一般の農民、町人に対しても、凶年に備えての貯穀が奨励されました。
 一定期間囲われた籾は悪くなる前に売却され、新穀(籾)と入れ替えられます。新たに囲籾を入れた村には、売却された籾の代金が支払われるわけです。この史料はそうした動きを短く説明したものです。史料には、囲籾を差し出した村々はその代金を渡すので、同月16日に受取印を持参して役所へ出頭するよう記載されています。なお、囲籾を差し出した村々と指定していることから、囲籾を差し出す余裕のない村もあったものと思われます。
 天保年間(1830~1844)には大飢饉が起こり、各地で甚大な被害となりました。それが百姓一揆や打ちこわしへ発展していきます。当該の三河地方においても飢饉による被害があったと推測され、打ちこわしの発生や村々の夫食金(ぶじききん)の借用を他の役所に願い出ていたこと等が記録に残っています。
 なお、交代寄合については【43】をご覧ください。

※この解説文は、愛知県立大学における博物館学の講義の際に作成した解説文を基に作成しています。

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